あなたのモノ




「…もしもし?」


そう言いながら
湊は部屋を出て行った。


電話だったんだ。

けど聞き慣れない曲だった。



そうだ。
今ので起きたことを装おう。



「あ、未紀か?どうした?」


…未紀?


廊下に出ただけで
ドアを閉めていないから
声は普通に聞こえる。



「え、今から家?
…や、今日はちょっと…」


家に来るってこと?
じゃあ、彼女…?



「は?おい……わかった、
わかったから。ああ、じゃあな」


なんだか言い聞かせるような口調。


会いたいと言った彼女を宥めたのかな?




< 88 / 113 >

この作品をシェア

pagetop