あなたのモノ




険しい顔をして湊は部屋に戻ってきた。



「起こした?ごめんな」


「う、ううん!私こそ
寝ちゃってごめんね」


さっきの湊の言葉が
頭から離れない。


“ずっと側にいてくれるか?

あ、未紀?”



ずっと側にいてくれるか?

居ていいなら私はずっと…


けど、未紀って誰?

そんなこと聞けるはずない。

わからないことだらけだよ…。




「おかず温め直すね!」


おかずを持って
急いで立ち上がった。




「あのさっ!用事できたから…
やっぱ飯いらねぇや…。
ごめんな?
せっかく待っててくれたのに」


「え…、あ!大丈夫だよ!
気をつけて行ってきてね」

崩れかけた笑顔をバレないように
再び作った。




< 89 / 113 >

この作品をシェア

pagetop