サクラ、咲く
「夕さんは知らないだろうけど…。大介は、夕さんを守るために…」



佐久間さんは静かに涙を流していた。



表現の仕方がおかしいかもしれないけど、『綺麗』だった。



この人は、純粋なんだろう。



きっと、今までに苦しい思いを…。



「夕さん、覚えておいてください。」



「??」



「あなたを…夕さんを助けるために、夕さんの知らないところで、1日に多くの人が死んでいる、ということを」



知らなかった。



戦乱の時に多くの人が死んでいることは、お父様から聞いていたが、まさか日常の中でも死人が出ているとは……



「ごめんなさい・・・・・・私のせいで…」



「あっ…。夕さんのせいじゃないんです。責めてるんじゃ無いんで…」



「…佐久間さん」



「はい」



涙で赤くなった目でこっちを見る。
< 7 / 20 >

この作品をシェア

pagetop