サクラ、咲く
「…まだ、あなたを私の傍に置けるかは分からない…。けど、色々聞きたいことがあるんです。……いいですか?」



「はい」



佐久間さんの目は私を真っ直ぐに見ていた。



でも…私は見ることができなかった。



…私のせいで彼の友達…ー大介さんは死んだのだから。



「あなたは…何歳ですか?」



「16歳です。」



私と同い年…。



こんな歳で、自分の身も徹して私の傍にいようとするの?



「あなたの家族構成は…?」



一瞬、佐久間さんの顔が曇った。



「……母も父も妹も…、餓えて死にました。…俺だけ、生き残ったんです。」



百姓のなかで弱い者は餓え死にするということは聞いたことがある。



佐久間さんの家は大変だったんだ。



「あなたの友人が死んだ…こんな危険な役職に何故、就こうと思うのですか?」



「償いです。」



「償い?」



「はい。俺が大介にできる…最後の償いです。夕さんを、全力で…守りたいんです。」



佐久間さんは、真剣な目をしていた。



「最後に…大介さんはどんな方だったんですか?」


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