幸せな夢。

確かに、何で怒ってるんだろう？　
拓は何も悪いことしてないのに…。
もしかして、短気に芽生えちゃった？　
今度から拓に、怒りん坊って言われるかな…。
それは嫌だな。私ばっかりからかわれてるし。
でも、拓だから許せるんだけど。
私だって、拓をからかいたい。
でも、先に拓に尻尾捕まれちゃう。
てか、なんで拓はそんなに人の弱点見つけるの得意なんだろう？
普段落ち着いてない奴なのに。
いつも私の事見てくれて、守ってたんだね。
実際、鈍感だと思ったけど、実際違う事に付き合い始めて知った。



「よし！　ここに決めた！」
「ど？」
「ここページの、ここ」



拓が選んだ店は、有名なホストクラブだった。



「ここ、競争率高いよ？」
「いいって、俺、勝つ自信あるから」



そんな簡単に勝てるものか。
私だって、苦労して上り詰めたのに。
指名一位には、すぐになれるものじゃないってわかってる？
沢山、お酒も飲まないといけないし、客に好かれないといけない。
城田優に似てる拓だけど、そんなに甘くない道だと思う。
でも、キャバ嬢とホストって客の対象が違うからな…。
私たちキャバ嬢はおじさんだけど、拓たちはおばさん相手の商売か…。



「おばさん相手に商売とか、絶対きついから！」
「文句言わない！　仕事でしょ？」
「まぁ、な」
「私だって、毎日キモいおじさんの相手して稼いでるんだからね！」
「わかってるけどよ…」
「何？」
「おばさん相手だと、絶対曖羅を恋しくなるだろうなって」
「・・・わかるよ、私もおじさん相手に笑ってると、拓が恋しくなる。拓としゃべってる方が世界で一番楽しいって思うんだ。仕事中、いっつも拓がいなくなったらどうしようって不安なんだ。拓、がんばってね。私も、負けずと頑張るから。」