幸せな夢。

見習いホスト

次の日、拓は仕事場となるホストクラブに面接で合格した。
そして、見習いホストになり、私も負けじと稼ぐために指名一位を保ったまま、働いて、二人の家を建てるための資金を集めた。
毎日、キャバ嬢として、拓の彼女としてでも、稼ぐために、沢山指名を受けた。
同じように拓も指名を取られるようになり、新米ながらにも、人気度は上がっていった。



「四番テーブル、拓のお客様からドンぺリコール入りましたぁっ!」



ボーイの声と共に、ドンペリが拓のいるテーブルに持って来る。
私が教えた話術で、拓は客を誘導して貢がせる様にできたのだ。



「もぉ、拓くんったら、話術上手いから頼んじゃうじゃない♪」



「さぁ、お嬢様どうぞ」
「今日は拓くんが飲んでっ!」



拓は、ドンペリを前に、覚悟を決めた。



「じゃあ、いきますよ」
「一気♪ 一気♪」



客の声と、拓のドンペリを飲み込む音が一緒になった。
そして、拓は初めて潰れた。



「拓くん、凄い飲みっぷり♪ また、頼もうかしら♪」
「いえ、お嬢様、また、今度、遊びに来られた時にどうぞ」
「それも、そうね」
「では、タクシーを捕まえて来ますのでお待ち下さい」



思うように客を弄び、出せるだけの金を貢がせて、拓は指名を取らせた。
客に対して、執事のように気を遣う拓は、とても気持ちのいい存在と評判になったのだ。これも、拓の戦略だという事を客も仕事仲間もしらなかった。

< 13 / 17 >

この作品をシェア

pagetop