幸せな夢。
食べ終わって、しばらくゆっくりして、拓の髪を染める準備をした。
 


「思ったんだけど、曖羅ってぶきっちょだよな?」
「どうして?」
「上手く染めきれんのか?」
「わかんない」
「は?」
「だって、初めて人の頭染めるもの」
「…末恐ろしや、この娘なり」
「何かいった?」
「いえ、何も言ってません」
「なら良いけど」



実際、弟の髪を染めたことはあるけど、何年ぶりかな?
…上手く染められるかといったら、自信はない。
たぶん、変にムラがあったら、拓は怒るだろうな…失敗は許されないよね、拓の事だし。



「拓、暗めと明るめ、どっちがいい?」
「暗い金髪とかあんのか?」
「さぁ?」
「絶対ないだろ、暗い金髪とか。なに混ぜてんだよ!って色だぞ?」
「失敗した場合、私は責任取らないからね?」
「は? そんなの許されないから」
「やっぱり?」
「当然だ」



残念。
私としたことが…。絶対失敗したりするってのが目に見えてる。



「あ、失敗したらお前の体もらう♪」
「拓、変態!」
「な、なんだよ。だったら失敗するんじゃねぇぞ」
「…しょうがない。ちゃんとしますよ」
「しょうがない、じゃない。ちゃんとしろ!」



何だかんだ言って、無事に染め終わって、私は体を上げずに済んだ。
内心ホッとした。
体を貰うとか、何をされるか知らないから、ちゃんとしてよかったと思った。



「なぁ、俺ギャル男みたいじゃね?」
「…確かに」
「このままだと、ただのギャル男だよな」
「うん」
「どうしよう?」
「・・・」
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