からくり姫と戦士  ブレイクムーンワールド01
陽が沈んでも
その客人の淑女は王宮を去ろうとする様子を見せなかった

なかなか本題に入ろうとしない客人に
ハッシュアン皇女は特に何も感じないらしく

なんとなく自分の本当の姉にでも慕うように
笑顔は絶やさなかった。

客人と一緒に夕食を摂ったハッシュアンは
さすがに興奮して
その嬉しさを隠しようもなかった

客人の淑女は
短時間のうちにすっかり仲良くなった
年下のハッシュアンに
夕食の後の語らいの時間に
少し本題に関することを口に出した

「皇女様…もしこのお城を出て行くときは
行くアテ…あなたを保護してくださるアテがちゃんとあるのですか?」

「私の生活は保障されています
多分、保障されているはずです…ただしその後は私が皇女として生まれた
本来の使命は完全に閉ざされてしまうでしょうね」

客人はびっくりしていた

自分がまだ9歳の少女に語りかけるには
やや難しい表現を使ったこと
そしてそのことについてとっさに後悔したこと
そして
ハッシュアンの9歳とは思えぬ
大人相手に凛とした対応で会話を交わすしっかりした
あまりにもしっかりしすぎた態度に…
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