私は小さな巨人に恋をした――
「どした?腹でも痛いか?」
「…………」
「弥生?」
こんな私の気持ちなんか知りもしないで…………
高広は、俯いた私の顔を覗き込んだかと思うと、おもむろに私の手の中にある鞄を引ったくった。
「貸して。持ってやるから頑張れ」
「わっ……!」
そして、おもむろに私の手を掴んで走り出した。
久しぶりに繋いだ高広の手は、いつの間にか私より大きくなっていた。
すっぽり包まれる、少し熱を帯びた手の平。
それから
引っ張る力は体格を思わせない、力強いものだった。
そうだ………
私の好きなタカちゃんは、背なんか気にならない位ぐいぐいリードしてくれる。
そこら辺の男子なんかよりずっと逞しいんだから。
一歩前を行く、その細い背中を見つめながら………朝から超幸せ気分に浸っていたんだ――――――――――