私は小さな巨人に恋をした――
「今上がるよっ、大幅なロスタイムだ」
「お前、あんまり根詰めるなよ?身体壊したら元もこもないんだぞ」
俺より20センチ近くうえから頭を撫でられる。
親父はでかい。
じいさんもでかい。
母さんはちっせぇから、俺はこっちに似たんだろうか。
「なぁ親父……」
「ん~?」
入れ違いで服を脱いでる親父の広い背中。
背が高いとスーツ姿も決まって見えるから特だよな。
「俺……もう伸びねぇかな。母さんに似たのかな。顔も似てるし……」
「お前……まだ成長期だろ~?諦めるには早過ぎ。それにだ」
ぐいっと腕を捕まえられる。
「手だって足だって、結構でかいだろ?伸びる証拠♪」
「ホント!?」
「あぁ。少なくとも弥生ちゃんよりは伸びるから心配すんな♪」
「はぁ?またそこ……」
「あとは寝ることだな。人は寝てる間に成長するんだ。だから………」
「何?」
「たまにはぐっすり眠れ。疲れが溜まってたら、脳みそも上手く使えないし、成長する時間も無いからな」
「………そっかな」
「そういうもんさ」
今度はぎゅっと肩を抱かれる。
優しい、逞しい親父の腕……俺もこんな風に大切なあいつを抱きしめられたら―――――