私は小さな巨人に恋をした――
「弥生……」
上擦ったような掠れた声……
「な、なぁに?」
つられてあたしの声も上擦る。
「ごめん…」
「えっ…」
「ごめんな……」
何が?
そう聞き返す間は与えられなかった。
ぐいっと引き寄せられ、しっかり男の子の力で抱きしめられ(というか、しがみつかれてというか……)て再度、唇を重ねられた。
ちょっと乱暴に、痛いくらいにぎゅっと押し付けられた唇。
熱い熱い唇だった。
高熱のせいだ、きっと。
こんな…こんなのきっと…そうに決まってるから今はそれでいい。
そうよ。うん、受け入れて風邪が移るように祈ろう。
そう割りきったつもりだった。