ぶるーすかいぶるー
「あのさ…」

言葉の続きが出ないことが遠くにいる僕らにもわかった。

祥子ちゃんの両親はガリの気持ちを知ってか知らずか少し離れて話している。

あと二分…。

時間は無情にも過ぎていく。

「俺はお前が…」

言いかけた時、向かいのホームに電車が来た。

勇気を出したガリの言葉は見事に消される。

そこで祥子ちゃんは嘘みたいに笑顔で口を開いた。

「幸治くん、セブンスター吸ってるんだってね」

「…おう」

「私あの匂い好きなんだ」

「そっか…」

それきり二人は言葉を交わさなかった。

電車が来て乗り込んで行く祥子ちゃん達。

ドアが声を上げて閉まり、祥子ちゃんは窓に張り付く様にガリを見つめる。

それはまるで引き裂かれる恋人達のようで見ている僕らの胸まで締め付けられるようだった。

きっと祥子ちゃんも…。

走り出す電車を追いかけるガリは去り行く祥子ちゃんに大声で叫ぶ。

「好きだー!!例え何年たってもずっと!!」

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