お姫様と1.5人の男
ただ言いたい事が1つ。


「あたしだって呪いは怖いよ? 桜太君ほど極度ではないけれどね」


と言うか呪いが大好きな言葉ですって言う人いるのかな?

いるとしたら相当色々な人に妬み恨みを持っている人なのかも。

気付けばあたしはずっと地べたに座ったままの桜太君の傍でしゃがみこみ、

まるで小さい子をあやすかのようにぎゅーっと抱きしめていた。

もう此処まで本当に無意識の事。

何やっちゃっているんだろう、とかそんな気持ちは今はない。

ただ玄一さんの“桜太に浮気しないで”という悲痛な訴えが気になる。

それはさておいて、やられた当の本人の桜太君は無言。好都合じゃない。


「大丈夫。呪われろ、なんて本心で思っている人なんていないから。怖くないよ?」


軽く頭を撫でた所で、桜太君があたしを呼ぶ声が聞こえてきた。

その言葉に漸くあたしは我に返って慌ててそのまま部屋から飛び出す。

あたし、さっきまで何していたの!?
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