お姫様と1.5人の男
思い切り首を数回小刻みに縦に振れば、入るなと言われる訳でもなければ、

勝手に入ろうとしただろと疑ってくる訳でもなく。大峰さんは微笑んで、


「丁度良かったですね。今から入ろうと思っていた所だったので。良ければご一緒に」


と。予想外。……大峰さんがこんな場所に何の用だろう、と言う事はさておき。

あたしは思わず嬉しくなる。きっと目を輝かせているんだろうな。


「迷惑じゃなければ是非!!」


後ろめたくなる心配はなくなるし、この部屋の謎も解ける。

正に一石二鳥……って言わないかもしれないな。きっと。よく分からないけれど。

大峰さんはそのまま扉に手を掛け、開ける。

ちょっと埃っぽいかも。そんなに使われる機会ってないのかな?

見渡せば目の前にはドラマで見るような社長室のデスクと椅子。

それから片方の壁にびっしりと本棚があって、本がびっしり詰まっている。

やっぱり書斎のようだ。
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