お姫様と1.5人の男
あたしはそんな渡部さんのお喋りに相槌を打つ程度。

薩川家での最後の夕飯はとても寂しいものになってしまった。

食後の後の紅茶を飲んで、あたしはすぐさま桜太君へとついて行く。

あの写真の事をじっくりと聞きたかったから。


「さあ、話して貰いましょうか!」


桜太君の部屋の扉を何処にでも響くような音を立てるくらい、強く閉めてから一言。

何も余計な事は話さない。ただあたしは真相を知りたかっただけ。

桜太君は横にいた元気のない玄一さんに目で“言え”と言わんばかりに合図を送る。

その合図に玄一さんは覚悟を決めたかのように、まずは土下座をする。

土下座をされてもあたしは許せない。信じてくれないから。


『雪佳ちゃん、本当にすまなかった……!』


やっぱりその言葉だけなんだね。玄一さんは。あたしはやっぱり首を横に振っていた。


『あの花でどうか許してくれないかのう……?』


バラとかならまだ少しは分かるけれど、何でアヤメの写真をあたしに?
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