お姫様と1.5人の男
誰にも気付かれないように隣でまだいじけている玄一さんに、シートを叩いて合図をする。


『おおっ、もう始まるのか……』


さっきまでのいじけっぷりは何処へやら。

少年の心を忘れていないかのような、キラキラした眼差しで桜太君とウメスケ君を見る。

そういえば玄一さん、この決闘に参加する気満々だったけれど、

やっぱりあたしの言葉が効いているのかな?あたしの傍から離れる感じがしない。

偉いって言ったら偉いけれど、あたしの言葉ってそんなに力があるものなの?

最初はアバウト100m走。アバウトになったのは正確な距離が分からなかったから、

この辺りが100mじゃないって辺りまでの距離らしい。

そのゴール地点には誰かが立っている……2人いるけどあれは誰だろう?

あの2人がタイムを計る人って言う事だけは何となく分かった。


「じゃあ、位置について……」


いよいよ決闘か。でもどっちも応援出来る訳ないよ。
< 150 / 227 >

この作品をシェア

pagetop