お姫様と1.5人の男
真先にそれに気付いたのは周りの皆。ちゃんとやれだとか言われちゃった。

ちゃんとやっているのに失礼しちゃうなあ……全く。

そのブーイングを聞いて漸く目を開けた2人が、自分達の手をあたしが握っている事に気付く。


「な、何だよー……勝った訳じゃないのか」


がっくりとした声を出すウメスケ君。ごめんね、結果がこんなので。

桜太君も桜太君で“何でこんな風にしたんだ”と言わんばかりにあたしを見る。

2人が勝敗を確認した所で、あたしはすぐに握った手を離した。

彼らの体温がまだあたしの手に微かに残っている事を感じながら、


「選べる訳ないでしょ!?」


周りのブーイングを押しのけるように大きな声で。

そのたった一言で周りは一気に静かになる。

黙ってくれなかったらどうしようと思ったけれど、良かった良かった。
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