お姫様と1.5人の男
こそこそと“あたしには無理だ”と話している子達の声が聞こえる。

その中には歩子さんの姿も含まれている。

分かっているよ。あたしには本当に無理だって事くらい。

聞こえないふりをしていたら、桜太君がそっとやって来る。

桜太君があたしの傍に来たことの所為で、お喋りしていた子達の視線が妙に刺さる。


「気にするな。少なくともこのメンツの中では、お前が相手の方がやりやすい。
注意されすぎだとは思うがな……」


誰にも聞こえないような声でそうボソリと呟いた桜太君。

あたしが注意される度に、不機嫌になっている気がしないでもなかったのに。

なんだ。怒っていなかったんだ?


「そういえば玄一さんは?」

「あのジジイ、さっきから黙ったまま俺の中にいる。嫌な予感がしてならない」


あ、やっぱり桜太君の中にいたんだね。玄一さんは。
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