お姫様と1.5人の男
心の何処かで嬉しかった気持ちもあった、なんて言えない。

相手が桜太君の姿をした玄一さんであろうとも。


「キスなんて出来なくたって明後日までは夫婦なんだよ?」

『だがキッスもないのは寂しくてのう……』

「……離婚したいの? 玄一さん」


やっぱり離婚はしたくないみたいで、また大人しくなった玄一さん。

とりあえずキス事件は落ち付いたかな?うん。落ち付いたって事にしておこう。

そういえば。桜太君はどうだったんだろう?

あたしなんかとして、きっと良い気分なんかじゃないだろうに。……ま、いっか。


『桜太も大人に……』

「何か言ったか? バカジジイ」


何かを言いかけた玄一さんに、微笑みをする桜太君。……怖いよ。
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