お姫様と1.5人の男
『雪佳ちゃん、雪佳ちゃん』


……っ!?何だ、玄一さんか。驚かせないでよ。

呆然としていると玄一さんが声を掛けてきた。

玄一さんの存在ですら忘れるくらいの迫力の2人だから、

それはもう心臓が飛び出るほどじゃないけどビックリする訳で。


『桜太と言い争っておる奴は誰かのう?』


そうか。玄一さんはクラスメイト全員を知っている訳じゃなかったっけ。

と言うかクラスメイトの中ではあたししか知らないよね?きっと。

小声で話す必要もないと思うから、何時もの声の大きさでウメスケ君の事を説明する。


「梅岡 亮祐(うめおか・りょうすけ)君。皆からはウメスケって呼ばれている子。
名前に“梅”があるせいか、桜太君とは良いコンビなの」

『ふむ。そうかそうか……あまり桜太は自分の事を話さないからのう。
良い友達と言うものがあいつにもおって安心だ』

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