1つのヒカリ

｢ど,どこ…｣


広い空港を走り続けて千種ちゃんを探す。

人だかりが多いせいで見つけるのに苦労した。


｢あ,いた!｣


探し始めて20分程度経った時,飛行機を待ってソファーに座っている千種ちゃんを見つけた。


｢ち,千種…ちゃん…｣

｢…夜瑠?｣


ハァハァ良いながら千種ちゃんに声を掛けるとこっちを見て唖然とした顔をしていた。


｢お見送りしに来てくれたの?｣

｢う,うん…っ｣

｢ありがとう｣


いつもと変わらない笑顔を千種ちゃんは見せてくれた。


｢…ごめんね…｣

｢え…?｣

｢楽しい思い出作ろうって言ってくれてたのに暗い態度とっててごめん…｣


本当は私も作りたかったんだよ…。


｢あ~…もう良いよ。終わっちゃった事は仕方ないし。今こうやって見送りに来てくれただけで嬉しいし｣

｢…ごめんね…｣

｢もう謝るなって!｣


私の頭をポンポンを軽く叩いて笑う千種ちゃん。


涙が出そうになる。


｢ありがとう…｣

｢うん｣

｢初めて友達って思えたよ。｣

｢うん｣

｢千種ちゃんのおかげで…私,冷子に言い返せたよ｣

｢そうだね｣

｢んで,虐められなくなったよ｣

｢うん。良かったね｣

｢ありがとぉ…｣


ポロポロと流れ落ちる涙。