1つのヒカリ
「千種って名前可愛いね」

「ありがとう」


ホームルームが終わると男女問わず住倉さんの周りに集まった。
私の机の周りにだけ誰も集まらずに。


「住倉さんさ,大槻には近寄んない方が良いよ?」

「大槻さんて?」

「こいつ」


さっき手を挙げて先生に言っていた男の子が私を指さして来た。


……。


「えっと…どうして?」

「こいつキモいし汚いから」


…キモくて汚いか……。


男の子の言葉を聞きながら私の方を見てくる住倉さん。


どうせこの子も私を虐めるんでしょ…。


「そんな事言っちゃ駄目だよ」


え……。


住倉さんの言葉で周りがざわめき出す。


「大槻さん…だっけ?別にキモくないし汚くもないじゃん」


住倉さんの言葉に周りが黙り込んだ。


「そういう事言うのって虐めだよ。虐めは駄目だし最低だよ」

「…でも……」


住倉さんに何か言いたげな男の子。


「でもじゃないし。私は虐めとか反対だからね」

「……」


驚いた顔で住倉さんを見るとこちらに気付いてニコリと微笑んで小さな声で「よろしくね」と言ってくれて私は「あ,うん」とぎこちない言葉を言って軽く頭を下げた。
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