台風が、来るまえに。
シャワーを浴びて化粧をしてからホテルを出た。


鳥の鳴き声しか聞こえてこない朝の六本木はいつも新鮮に感じる。



『この関係いつまで続くんだろぉ』


そんなことを考えながら、小腹が空いたから近くのコンビニに入った。

珈琲牛乳と菓子パンを手に取りレジに向かう


???

誰もいない。
しばらく待ってると外から男の店員が走って戻ってきた。



「ごめんねっ!!どのくらい待ってた?」


「うーん…2〜3分くらいかな」

「マジで?ほんとごめんっ」


男はすごい汗をかきながらバーコードを読み取っていった。


『この人、何してたんだろ…。』
と考えながら彼を見たら、汗がモミアゲから落ちそうになっていたから
見るに見かねてハンカチを差し出した。


「あの…よかったら、どーぞ」

「あっ♪ありがとー。きみ若いのにちゃんとハンカチとか持ってんだぁ」

「ハンカチくらい持ってるよ〜若いって言っても私、高2だから」

驚いたのか、彼は目を大きくして
私を上から下まで眺め直した。




「ごめん、中学生かと思ってた」


「アハハよく言われるんだよねー。背高くないし童顔だからかなぁ?そーいえば何歳なの?」

「俺?俺は20歳だよ。大学3年生」


「嘘でしょ!?」


どうしよぉ。
高校生くらいだと思ってタメ口で喋っちゃってたよ…


私の気まずそうな顔に気付いたのか、彼は優しく笑った

「俺もよく年下に見られるんだよね。そんなに童顔かー?ヒゲ生やそっかな〜」

「え〜、ヒゲ似合わないと思いますよ」


「いやいや、案外似合っちゃうかもよ?てか何で敬語になってんのー、タメ口のままでいいよ♪俺達、童顔仲間じゃんっ」

「アハハ♪そうだね」




彼と喋っていると、自然に笑えてる自分がいることに気付いた。


あの日から…あの事故が起きた日から
友達といても杉原さんといても、自然に笑うことができなかったのに…

何でだろぉ。
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop