台風が、来るまえに。
「あっそろそろ帰らないと学校間に合わないや。じゃあねっ」
「ちょっと待って!!名前なんて言うの?」
「木下 梓[ キノシタ アズサ ]♪そっちは?」
「椎名 春樹[ シイナ ハルキ ]。あっ、いつもこの時間働いてるから」
「うん、また来るねっ♪」
帰り道、春樹のことをずっと考えてた。
見た感じ、肌は軽く焼けてて髪は金に近い茶髪
童顔だけど整っている顔…
「彼女いるのかなぁ〜」
思ったよりも大きくでた声は、鳥の鳴き声と共に静かな六本木に少し響いた。
『もっと春樹のコトを知りたいなぁ』
『もっと私のコトを知って欲しいなぁ』
そんな思いが私の心を埋め尽くしていた。