tears
「・・・帰る。」
「え、あ・・・そか?送るわ」
「楽しかったよ。また、遊ぼうね」
ルネ受け売りをそのまま反芻する。
内川の笑顔が一瞬引き攣る、このままエッチしちゃうつもりだったのかな。
まぁ、内川はモテそうだから、女の子とこういう展開になったらするもんだって思ってるのかもしれない。
「・・・また明日、会社で」
改札に入る、電車がタイミングよく入ってくる。
アレに乗って、今日を楽しい思い出にしよう。
そう決めた、気持ちが楽になってきた。
「ネネ!!」
何かのドラマみたいだった。
内川が改札を乗り越えて、私を抱き締めた。
「俺、俺なぁ、お前のことめっちゃ好きやで!!」
内川の胸に強く抱き締められる、一瞬思考が停止して、
電車の発車ベルが私の思考を復旧させた。
「何すんだコノヤロー!!」
突き飛ばして張り倒し、電車に駆け込む。
内川が、呆然としながら電車を見送る。
あれ、何で泣いてるんだろう・・・びっくりしたからひっぱたいただけなのに・・・
涙が止まらない。
内川に、悪いこと、しちゃった。
ルネが地元の駅で待ってた、
ルネに抱きついて、私はまた、泣いていた。
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