tears
俺、ネネのこと大好きなんよ。そう吐き出すと、妹・・・ルネは、にっこり笑った。
「良かった、お姉ちゃんの初めての人があなたみたいな誠実な人で。」
「・・・え・・・?」
「お姉ちゃんってね、あんまりオトコと付き合ったことない上にまだ処女なの。で、ビビりで意気地無しなの。石橋は叩いて渡るどころか叩き破っちゃうタイプなの。
だからなかなかエッチまで辿り着かないと思うけど、待ってあげてね。お姉ちゃん、内川さんのこと大好きだから。」
「は、はぁ・・・」
「ルネ、実の姉をボロクソ言い過ぎだろ。このアバズがふっ!!」
何だか、衝撃だった。
そして改めて思った。
東京モンは怖い。
東京の女はもっと怖い。
今与田に締め技を決めている彼もまた、東京女に騙された一員だ。
「・・・ありがとうな、ルネちゃん。俺、ちょっと元気出てきたわ。明日ネネが来たら、今度こそちゃんと告白するで」
「うん。カップル成立したらみんなで遊びに行こうね。」
ふいに抱きつかれ、呆気に取られた瞬間に彼氏に殴られたが、
そんなことはどうでも良かった。

明日、明日。
きっとネネと付き合ってみせようじゃないか。
殴られた頬は痛かったが頭の中はひどく幸せな、その日の帰り道だった。
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