tears
大輔は少し不安そうに、アタシを見た。
覗き込んで、アタシの様子を伺う。確かに束縛系だけど、大輔は優しいからね、アタシが他のこと考えてるの不安なんだよね。
「・・・いや・・・お前がこんなに黙ったまま、というのは珍しいからな・・・」
「アタシ今日は帰るね。」
やっぱりアタシは、お姉ちゃんが心配だった。
あんなに元気ないお姉ちゃん見るのなんて、久しぶりだったから。
「なっ・・・」
大輔が引き留めようとするのは、いつも使う手で何とかするしかなさそうだった。
「やっぱりお姉ちゃん心配だし。多分起きてるし。」
「あいつだって、子供じゃあるまいし・・・」
「・・・大輔、ハグして。」
反論するとかえって熱くなるから、なだめすかしてなかったことに。
アタシが抱きつくと、大輔は珍しくすぐアタシを抱き締めて、そのままキスをくれた。
息もつけないくらい、熱いディープキス。
周りにじろじろ見られてるよ、いつもはすごく気にするのに。
「・・・また明日、な」
「うん。」
そっかぁ、思い出した。
アタシが束縛系とばっかり付き合う理由。
バイバイするときのこの一瞬、
超寂しそうな顔をするのが、大好きなんだ。
行かないでよ、って言ってるみたいな。
反対側のホーム、アタシを探してる。
気付かれないように、アタシは電車に乗った。
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