tears

胸キュンの、深夜残業。

チクショウ、終わらない。
朝からやってんのにクソも終わらない。
何でだ?
私は減ってきたお腹を抱え、右手でキーを打ち続けた。
「よぉ~田中ちゃん!遅くまでお疲れやんなぁ!どや、終わりそか~?」
「終んないよどうせ。明日の昼までずっとこうだ」
まだいたんだ。私は内川に一瞥くれることもなくディスプレイに向かい続ける。
あ、いいにおい。ソースの匂いって暴力的。
匂いに釣られて、内川の顔を見た。
「あ、そうなん・・・?俺手伝われへんのん?
とりあえず、差し入れや。パンと、おにぎりと、ラーメン。あとたこ焼き!うまいでぇ~」
な、何だ内川、何でそんなに悲しそうな顔するんだ。
でもすぐに笑って、コンビニおにぎりを出してくる。
私はスペインの手にあったたこ焼きを食べて、空腹の限界だったことにようやく気づけたのだった。
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