ゴーストシンガー
部屋には戻らず、廊下に座り込む。


夕食はいらない、とお母さんにメールを送った。

「退屈してる?」

携帯を見つめたままでいると、頭上から声が聞こえた。
見上げてみれば、あの他校の男子が立っていた。
彼は2時間ゲームに夢中だったから、初めて声を聞いて、初めて正面から顔を見れた。

やっぱりイケメンだった。
校則違反なんて見当たらず、爽やかな彼と三宅は対照的だった。

三宅が苦手な私にとって、正反対な彼はタイプと言える。

「そんなこと……ないよ」

意識して、話すことに照れてしまう。

「ちょっと話し過ぎて疲れちゃっただけ」

無我夢中だったとは言え、お喋りな女子と認識されていたら恥ずかしいなぁ……。うるさい女子って嫌いじゃないかな?
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