ゴーストシンガー
「ここ」
和泉君の指が顔に触れる。
「エクボが出来てる。可愛い」
かっ……可愛いって言った!?
「エクボの出来る女の子って良いよね。チャノちゃんはもっと笑いなよ」
「……分かった」
言われ慣れない言葉に口元が緩み、心が温かくなる。
これからはバカみたいにヘラヘラ笑うだろう。
「チャノちゃん」
「ん?」
「メアド交換しようか?」
えっ!
「また会いたいし」
「うん!」
和泉君の笑顔の前では、私は素直になってしまう。
赤外線で交換した番号とアドレスが、大切なものになる。
また会えるんだ……!
自然とエクボを作ってしまう。