ゴーストシンガー

「ここ」

和泉君の指が顔に触れる。

「エクボが出来てる。可愛い」

かっ……可愛いって言った!?

「エクボの出来る女の子って良いよね。チャノちゃんはもっと笑いなよ」

「……分かった」

言われ慣れない言葉に口元が緩み、心が温かくなる。
これからはバカみたいにヘラヘラ笑うだろう。


「チャノちゃん」

「ん?」

「メアド交換しようか?」

えっ!

「また会いたいし」

「うん!」

和泉君の笑顔の前では、私は素直になってしまう。

赤外線で交換した番号とアドレスが、大切なものになる。

また会えるんだ……!

自然とエクボを作ってしまう。
< 16 / 18 >

この作品をシェア

pagetop