ゴーストシンガー
藍菜と千嘉が私を呼ぶ。

「チャノ」

「何?」

私は千嘉を抱き寄せた。
千嘉はクラスのマスコットで可愛い。
小さくて肌も柔らかくて、抱き心地が良かったりする。

千嘉を見て、抱きつかない女子はいないんじゃないかって思ってる。


「苦しいよ、チャノ!」

「千嘉が可愛いから仕方がないの」

逃げようとする千嘉を離さない。

「いじめないの」

そう注意しながらも、笑っている藍菜。

藍菜の見た目は派手なギャルだ。
セミロングの髪は金色に染められていて、いつもメイクに隙がない。
瞬きすると、瞼はキラキラ光り、睫毛で風を起こしそうだ。

……風を起こすは冗談だけど。

ボリュームがあって、長い睫毛なのは確かだ。
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