准教授 高野先生のこと

けれども――

それなのに、私は何故かすこし悲しくなった。


そんな気持ちにさせるのは、この空模様と私の心模様の隔たりなのだろう。


雲ひとつない空、霧のかかった心。

すっきりとした空、ぐずぐずした心。

当分晴れの見込みの空、何の兆しも感じられない心。




空がどこまでも高ければ高いほど――

“所詮、手など届くはずもないんだ”と。

私の心を翳(かげ)らせた。



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