准教授 高野先生のこと
真中君は3台設置してある自販機を順番に“ふーん”と眺めた。
「アッキーにはさ、生まれたらコドモ見に行っていいか聞いておいてよ」
「ん、わかった」
「ところでさ――」
「うん?」
「高野サンからのメールなんだけど」
「えっ!」
思いがけない真中君の台詞に、思い切り動揺する私。
なにしろ――
真中君は内緒で交際中だった秋ちゃんと夏川さんの仲を唯一知っていた人物。
しかも――
二人に打ち明けられるまでもなく鋭い洞察力で知りえていたというのだから。