准教授 高野先生のこと
うーむ、しかしどうしたものだろう……。
頭の中でぐるぐると真中君のつぎの台詞を予想する。
とりあえず――
「メールって?」
とぼけてみた……。
真中君は“しょうがねぇなぁ”って顔でため息をついた。
「ほらぁ、来月の学会の受付やってってやつだよ」
「あ、あぁー……。きてたね。うん、きてた。見た見た見た」
ホントはちゃんと見ていなかった……。
もちろん、あとでちゃんと返信しなきゃと思ってはいたけれど。
確かにそういうお願いメールがPCの方にきていたはず。
送信先のToには真中君と私。
Ccには並木先生の名前があったと思う。
事務連絡のメールに返信を怠るなんて言語道断!なのだけど――
私はメールを見るまでもなく内容を知っていたのだ。
先生から口頭で既に詳しく聞いていたので。
っていうか、そもそも――
私のほかにもう一人誰かってことで真中君を推したのはこの私なのだから。