准教授 高野先生のこと
ようやく作業が終わる頃にはすっかり日が暮れていた。
先生も私も思いのほか作業に没頭してしまって……。
時間が経つのなんてまったく気にもとめていなかった。
「すみません。すっかり遅くなってしまいました」
「いえ、全然です。それよりも終わってよかったです」
「本当に。鈴木さんのおかけで今日中に旅立ちです」
先生はにっこりと笑って封筒の入った紙袋を指差した。
ふんわりと優しい笑顔だった。
あぁ、素敵だなぁ……。
私は完全に先生に心惹かれていた。