准教授 高野先生のこと

「アンタは“もう?”なんてのんきなこと言っちゃってっけど、ぜんぜんだかんね!

男の人と付き合うってのがよくわかんないとか言うけどさぁ。

週に2度も3度も二人きりで会って?

一緒に晩ごはん食べて?

夜に車で送ってもらって?

毎日メールして?

休みに海までドライブして?

もうね、付き合いはじめのカップルがやるようなこと、みんなやっちゃってっから。

だいたいねぇ、浅はかすぎだってーの!

男の車の助手席に乗る意味よく考えてみ?

車なんてね、動く密室だよ?

人里離れたとこに連れてかれて?

シート倒されて?押し倒されて?

襲われちゃうかもしんないんだかんね!

高野サンだって、男だよ?

隣りに?

いかにも自分に気がありそうな?

若くて?

ぱやーんとした女の子がいて?

男だったら手ぇ出すでしょーよぉ!

なのにさ、それでもね――

アンタが乙女ちゃんのままで今こうしていられんのは?

高野サンがアンタのことを大事に想って考えてくれてたからじゃんね。

アンタはアンタで自分のことでいっぱいいっぱいなのわかるけどさ。

高野サンのほうがよっぽど悩んでいると思うし、大変なはずだよ?

直接の師弟関係でなくても教員が学生に告白するなんて、すごい勇気いるもん。

ったくもう、アンタはねぇ……。

つまんないことにモヤっとしてる暇があんなら考えなさい!

相手にちゃんと向き合って、真剣に想いに応えることを!」



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