准教授 高野先生のこと

うっとりとする時間もいいけれど、私は決まり悪い間抜けな時間も以外と好き。

残骸のように散らばったパジャマや下着を探し集めて、もそもそと着直す時間とか。


しっかりと寝る準備を整えてから、先生と私はお布団にくるまって少し話しをした。

「こういうときって、何も着ないまま寄り添ったりするんじゃないんですか?」

「うーん。じゃあ、脱ごうか?」

先生が本気でパジャマを脱ぎそうだったので――

「いやっ、いいんですけど」

全力であわてて制止する……。


「こういうときって、男の人は勝手にシャワー浴びてきて、ベッドの端っこに座って、煙草吸いながら、かったるそうに、申し訳程度に“よかったよ”とか言うんじゃないんですか?」

「詩織ちゃん、君はいったいどういう教材でお勉強してきたの……」

「こういうときって……」

「こういうときは反省会です」

「本日の反省と今度の課題と展望について、ですか?」

「そうそう……」

先生はそんなことを言いながら、いっそう私を引き寄せてくれたけど――

なんだかもう、うとうとと、うつらうつら眠そうだった。


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