准教授 高野先生のこと
きっと、抱きしめてくれるんだろうなって思った。
それがわかったから――
わかったけど――
だから――
「一番のりでおめでとうって言いたかったんです」
私から先生を抱きしめた。
もう抱きしめ方は知っていた。
先生が私をたくさん抱きしめて、優しく教えてくれたから。
「ありがとう。誕生日がこんなに嬉しいなんて。ホント、久しぶりだな」
「今日ね、私いろいろ頑張りますから」
「いろいろ?」
「そうです、いろいろです」
「楽しみだ」
「いっぱい期待しててください」
「うん、いっぱい期待してる」
誕生日はその人の誕生に感謝する周りの人々のための1日。
今日一日命がけで!っていうのは大袈裟だけど気合十分!
先生がこの世に生まれてきてくれたことに感謝しまくる!
お誕生日を祝いまくる!
私はそう心に誓っていた。