准教授 高野先生のこと

そこで何故か?先生の手がぴたりととまる。

「詩織ちゃん」

「え?」

「誕生日ってことは、だよ」

「はぃ?」

「ボタン外したらリボンとかついてて」

「はぁ……」

「“私がプレゼントです”なんて演出が」

「ないですから」

先生ってときどき、真剣にしょーもないことを言う……。


「何なんですか、その貧弱な発想は。文学やってるとは思えないですよ?」

「だって僕はただの研究者だもん。作家先生じゃないからいいんだよ、別に」

この人、開き直ってるな……。


「残念ながらリボンなんて過剰包装ないですから。予めご了承くださいませ」

「そっかぁ……」

何もそんなにがっかりした声出さずとも……。


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