准教授 高野先生のこと

真中君がいるとやっぱりプロレタリア文学のほうに話しがどんどんそれて行く。

文学理論の勉強会だからねってあれほど念を押したのにぃぃ。

そうは思っても、私はいつだって先生にみてもらえるわけだし。

なので、ここはひとつ甘受して真中君に高野先生を譲ってあげた。


脱線ついでに今日あったゼミの出来事に話は及んだ。

「ボクとシオ……鈴木さんの連合軍で戦ったんですよ!あの沼尾さんと」

「沼尾君と?」

「はいっ!鈴木さん、凄かったんですよ」

「真中君と詩織さんが。沼尾君と……」

先生の視線がこちらに向けられたけど、私はそしらぬ顔で目をそらした。


今日のゼミの発表者は真中君。

そして質疑応答でモーレツにはりきったのがD2の沼尾さんだった。

大学院というところは一般的には5年間の教育課程が用意されている。

うちの場合、修士課程2年の上に博士課程3年がある。

DというのがドクターのD。

よって、D2は博士課程の2年生にあたる。

ちなみに、修士1年の私たちはマスターのMでM1ということになる。
< 314 / 462 >

この作品をシェア

pagetop