准教授 高野先生のこと

「鈴……シオリンと高野サンてできてるよね?やっちゃってるよね?」

何を言われたのか一瞬わからなかった。

そして――

ちょっと遅れて、さーっと血の気が引いてきて、それこそ私は絶句した。

衝撃には強いはずの先生もさすがに驚愕の様子で――

「あっ!高野サン、信号青です」

「えっ」

秋ちゃんの声にはっとさせられ、後ろの車にクラクションまで鳴らされた。

「……っと、失礼」

信号が変わって発進が遅れるなんて、いつもの先生では考えられないことだ。

先生と私はまるで瞬間冷凍みたいに時間も心臓も止まるくらいに驚いた。

けれども――

「あーあー、真中ってば、もう……」

秋ちゃんはちっともびっくりした様子もなく、むしろ想定内?って反応だった。

「これじゃあさぁ、夏川とあたしん時とまるっと一緒じゃんよ」

夏川さんと秋ちゃんのときと一緒?

「だって、体質なんだから仕方ないだろ?ボクだってわざとじゃないんだから」

体質?わざとじゃない??それって何???

「あの、真中君……?」

「ごめん。ボク、そういうの何故かわかっちゃうんだよね……」

そうして先生と私は真中君の“体質”とやらを初めて知ることとなったのである。




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