准教授 高野先生のこと
「ボク、神社のうちの子じゃないですか?
家系とか血筋が関係あるのかわからないんですけど、奇妙な勘が働くんです。
しかも、その勘ってのがまた厄介で……。
つまりその……同じ場にてそういう関係の男女がいたら、わかっちゃうんですよ。
どういう風にって聞かれても困るんですけど、わかるんです、一瞬で。
知り合いでも、そうでない見ず知らずの人でも、です。
ホント自分でも困っちゃうんですよね。
だって知りたくも無いのにわかっちゃうんですから。
教務課のお姉チャンと考古学研究室の某先生ができてるとか。
ウチの研究室のことだって……。
夏川サンとアッキーのことも、なんていうかその、それで……」
そこまで言って真中君はちょっと困って口ごもった。
すると、真中君の話を引き継ぐように――
「あんときゃ、びっくりしたなぁ」
秋ちゃんが、ふぇーっと大きく息をついて、そのときのことを話してくれた。
「だってさぁ、真中ってばホントにもう……。
夏川と付き合い始めの清い関係の頃はさ、ぜーんぜん微塵も気づかなかったくせに。
それがさ、いきなり翌日だよ?もう、よ・く・じ・つ!
“アッキーと夏川サン、やっちゃったんだね”だって。
てか、もっと言い方あんでしょ!って感じだし。
しかしまあ驚いたよねぇ。
あたしゃラブホに入るとこか出るとこか、うっかり目撃されたのかと思ったもん。
でも、そうじゃなかったんだよねぇ……」