准教授 高野先生のこと
もちろん真中君が謝らなきゃいけないことなんて一つもないし。
「真中君、私、なんていうか……」
「僕も、なんと言ったらよいのか……」
考えてみると、先生と私が謝らなきゃいけないことも一つもない。
高野先生と私って“別に悪いことはしてません”って開き直れる?関係なのだ。
だって、既卒の私にはもう成績上の有利不利の不公平も発生しないし関係ないし。
お互いに独身だから、不倫って訳でもないし。
まあ、イメージとしては社内恋愛ってのが一番近いのかも?なんて。
悪いことはしてないけど周りに知られるとちょっと厄介?みたいな。
「まあまあまあ、シオリンも高野サンもね。
驚いたでしょうけど真中は信頼できる味方になってくれるはずですから。
二人にとっても、よかったじゃないですか。
3人で勉強会やっていくんですよね?
いつもいつも、バレたら厄介だなぁなんて思いながら会うのは窮屈ですよ?
もっともね、夏川とあたしとは違って、二人はこそこそする必要ないと思いますけど。
まったく気にせずに堂々としていたっていいくらい。
ただ……まあね、この業界って残念ながらいやらしい奴らもいますからね。
きっちりするまでは水面下で仲良くしたほうが賢明といえば賢明かもですね」
そう言って秋ちゃんは“経験者は語る”なんて笑ってみせた。