准教授 高野先生のこと
「あのっ、必ずまたお返しに伺います。絶対に必ずまた」
「そんな、無理をしなくても」
「でもっ……!」
私はきっととても切羽詰った表情をしていたに違いない。
「来られる際は必ず事前に連絡してください」
先生は泣いた子どもを慰めるような優しい目で私を見ていた。
「せっかく来て頂いて空振りでは申し訳ありませんからね」
「はいっ。必ずご連絡します」
疎まれていなかったことに、心からほっと安堵する。
先生のこと、もっともっと知りたい。
先生と、もっともっと関わりたい。
心からそう願っていた。