准教授 高野先生のこと
初めに、お風呂は一緒に入ろうと提案したのは私から。
彼はそれをせがんだりもしなければ、そうしたそうな素振りもみせなかったけど。
私が思い立ったのは本当ホントに単純な理由。
ズバリ、別々に入るのは不経済だから。
それが気になったから、だたそれだけだ。
だって――
こういう言い方もどうかと思うけど、あんなことしておいて今更……。
体を洗うためにお風呂に入って裸なんぞ見られたとてたいしたことない、と。
まあ、二人とも視力が悪いので100%クリアじゃないって安心感?もあるんだけど。
私ってちょっと恥じらいが足りないのかも???
スポンジを使ってゴシゴシと几帳面に体を洗う。
寛行さんは湯船につかって私の様子を眺めている。
浴槽のふちに頬杖をついて、ただぼんやりと。
視線を感じつつも気にしないことにして、いつもの手順でもくもく泡を立てていく。
作業?に集中しながら、私は頭の中で今日の出来事を一つひとつおさらいしていた。
そういえば、大事なことを忘れていた。
色々あってなんとなく頓挫させたままになっていたけど……。
私には今日どうしても寛行さんに聞いて欲しいことがあったのだ。