准教授 高野先生のこと

恒例の?一本締めで会はお開き。

それでもまだまだ高野先生の仕事は終わりじゃない。

2次会へ流れる先生方への対応や、これで帰る先生との挨拶なんかで大忙し。


「シオリンは帰るんだよね?」

「うん。真中君は2次会だね」

「あ……」

立ち話する私たちの横を、沼尾さんがチラ見しながら通っていく。

「沼尾さん、行くみたいだね……」

「らしいね」

真中君が、ふぅと小さくため息をつく。

「他の先輩方もみんな行くみたいだし。気にしないことにするさ」

「うん。並木先生もいらっしゃるしね」

「だよね」

噂によると先日の一件で沼尾さんは並木先生に厳しく指導されたらしい。

そんなわけで――

並木先生の前では必死で大人しい良い子でいるから心配なかろうと。


田丸先生からはちゃんと名刺もいただいたし、私はそろそろ一人で撤収。

諸先生方のお世話でてんてこまいの高野先生を遠巻きに見ながら。

私は一人、下へ向かうエレベーターに乗り込んだ。


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