准教授 高野先生のこと
森岡先生は、何やら思案すると徐に携帯電話を開いた。
「鈴木さんに……」
そして携帯を見ながら何かをメモ用紙に書き写した。
「ほれっ」
「はい?」
書き付けたメモを私に手渡す森岡先生。
「若い女の子がお見舞いにでも来れば、すぐによくなるって」
「えっ?」
メモは……高野先生の自宅の住所!?
「うちの奥さんがそう言うからには間違いない」
「ええっ!だってそんなっ……」
「大丈夫。今の高野に君を押し倒す体力は無い」
「ちょっ……先生それ、今の絶対セクハラだと思いますっ」
「おっとっとっと。まあいいさ」
先生は“君の好きにしなさい”なんて言って爽やかに笑った。
まったく想定外に、思わぬお宝を手に入れてしまった
けれども――
高野先生のうちに突撃するんて、そんな難易度の高いこと……。
恋愛超初心者に私にはできっこないに決まってるのに。