准教授 高野先生のこと
森岡先生の研究室を出て、私はやや急いでY大学へ戻った。
並木先生はちょうど食事に出ていて離席中。
私は先輩に事情を話して資料を渡してもらえるようお願いした。
並木先生、今夜は徹夜かな……?
とりあえず、私が並木先生の為にできることはやったつもり。
高野先生は、今頃おうちで一人どうしているのだろう???
私が高野先生の為にできることって何かあるんだろうか?
考えてみても、すぐには思いつかなかった。
改めて森岡先生の言葉を思い出す。
女の子が行けば治るだなんて、そんなこと……。
じゃあ、本当におうちにお見舞いに行くとか?
やっぱり、それは無理そうだ……。
考えているうちに、私ははたと気がついた。
森岡先生や奥さんがあんなことを言うってことは……???
高野先生には彼女がいない!?