准教授 高野先生のこと

よそ様のことはわからないけど、寛行さんと私はその……とても“仲良し”だった。

私がちょこちょこ彼のうちへ泊まりに行く度――

必ずいつも私たちは“そうして”いた。

会う度いつもだと体目当て?みたいに不安や不快に思う人もいるのかも。

けれども――

私はむしろ求められることが嬉しくて、いくらでもそうしたいとさえ思っていた。

彼に抱いてもらうといつだって、私は心地よい幸福感に満たされた。

だけど、最近考えてしまうのだ。

いつもいつも私ばかり“もらって”いるなぁ、と。

いつも誘ってもらってばかり。

いつも優しくしてもらってばかり。

彼は一貫して“僕はいいよ”って感じの態度で……。

不満そうな素振なんて見せはしない。

ただ受け入れること以外に私に何かを求めてきたりは決してしない。

それは、圧倒的に経験の浅い私に対する彼の優しい気遣いなのだろう。

けれども――

私としては、それがなんとなく淋しくもあった。

だって……私だって……。

彼に知って欲しいし、伝えたかった。

求められるから応えているわけじゃないってことを。

私だって、うんと優しくお返しが出来たらって思っていることを。

しかしながら――

そうは思っていても、なかなかどうして難しく……。





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