准教授 高野先生のこと
秋ちゃんは快調にスイートポテトをもぐもぐとやっつけながらズゴイことを言った。
「人間はね、SかMのどちらかに必ず針が振れるもんなんだよ」
「うそーん」
「うっそでないって。針の振れ方がデカイかちっちゃいかの違いだけだって」
「そんなぁ」
「そういう相性って重要だと思うんだなぁ。
もちろん、それがすべてじゃないけどさ。
相性がいいに越したことはないじゃんね。
だってさ、考えてごらんよ?
二人とも、オレが!あたしが!でもうまくいかないだろうし。
そうかと言って――
君が……あなたが……なんてのも具合がよろしくないでしょーよ。
そういう意味では、ウチもシオリンとこも円満で安泰だあねぇ、有難いことに。
シオリンは考えすぎなんじゃないの?
まあ、気持ちはわからなくもないし、その前向きな姿勢はいいと思うけどね。
高野サンだって、シオリンの気持ち知ったらすっごい嬉しいだろうしさ。
けどね、こう言っちゃあなんだけど、あんたがあーだこーだ考えててもねぇ。
おかしな方向にいくか、どうにもならないかってだけの気もするし。
いっそ彼に話してみればいいじゃんよ。
そしたらさ、きっと喜んで?二人の関係がもっとよくなるように?
彼がちゃーんと考えてくれるんじゃない?
あんたはさ、とりあえず彼にまかせて?それにのっかってってみればいいと思うよ」